会社を潰す社長の行動20|コロナ特需の後、俺は14個やっていた

会社を潰す社長の行動20項目を、実際に会社を潰した本人が自己採点した記事のサムネイル

どうも〜さとあつです😄

俺は会社を潰しています。

先日ふと思い立って、会社を潰す社長にはどんな共通点があるのかを、徹底的に調べました。倒産の統計、コンサル会社が何千社を見てきた指導事例、それから心理学の研究まで。

集めたものを20項目に並べ直して、そのまま自分で採点しました。

20個のうち、14個が自分に当てはまりました。

正直、もっと少ないと思っていました。

先に一つ断っておきます。会社を潰す社長の行動ランキング20という一次調査は、日本にも海外にも存在しません。下の20は、倒産の統計と実務家の観察と認知バイアスの研究を突き合わせて、俺が並べたものです。順番は潰す力の強い順にしました。

会社を潰す社長の行動20を、自分で採点した

数字の出どころだけ先に書いておきます。

倒産の原因で最も多いのは販売不振で、設立10年未満の企業では70.3%を占めます。放漫経営は11.0%で、これは全倒産の4.9%と比べると2倍以上です。海外で失敗した企業385社を調べた分析では、資金が尽きたが70%、商品と市場が合っていなかったが43%でした。

では、いきます。

#行動・思考
1欲しい人がいるか確かめる前に、作って売り始める×
2現金がいつ尽きるかを、自分で数えていない該当
31回の賭けが大きすぎる該当
4撤退ラインを先に決めない該当
5つぎ込んだ分だけ、引けなくなる該当
6売上が伸びているから大丈夫だと思う×
7自分の経営能力を高く見積もる該当
81社・1商品・1チャネルに依存する×
9借りられた イコール 認められた、と受け取る該当
10利益の出ない値段で売る×
11苦手な数字から逃げる×
12悪い報告が上がってこない状態を放置する該当
13縮小・撤退・謝罪・相談ができない該当
14過去に効いた手が、今も効くと思う該当
15個人保証で、会社と家庭を同じ皿に乗せる該当
16タイミングを読み違える該当
17計画を、うまくいったらの前提で立てる該当
18公私混同と、金銭感覚の崩れ該当
19人を採る・育てるのを後回しにする×
20成功者の話だけを教科書にする該当

赤い行が、自分に当てはまったものです。

当てはまらなかった6個のほうが、正確に事実を語っている

14個並べると、ただのダメ社長の一覧に見えます。でも本当のことを書くなら、当てはまらなかった6個のほうが大事です。

1・6・8・10
商品も、値段も、客の広げ方も
間違えていなかった
11
数字から逃げてはいなかった
決算書も試算表も見ていた
19
人はちゃんと採っていた
社員がいる会社だった

つまり商品が悪くて潰れたのではないです。ちゃんと売れる物を持っていて、ちゃんと社員がいて、ちゃんと数字も見ていました。

それでも潰れました。

間違えたのは、もっと後です。売上が落ちた後の判断でした。

何が起きたのか、順番に書きます

コロナでした。

あの時期、うちは物販の売上が爆発的に伸びました。コンサルの売上も一緒に伸びました。世の中の人が家から出られなくなって、物がとにかく売れた時期です。

その後どうなったかは、たぶん想像がつくと思います。

  • コロナで物販もコンサルも売上が爆増した
  • 相見積もりを取らなくなった。安いほうを探さなくなった
  • 社員が言ってきたものを、そのまま通すようになった
  • 固定費と経費が上がった
  • 特需が終わり、物販もコンサルも売上が明確に下がった
  • ここで縮小しなかった
  • 落ちた分を埋めるために、法人向けの新事業を始めた(SNS運用など)
  • 新事業もうまくいかなかった
  • 現金が尽きた
会社が潰れるまでの流れを示した図解。上りきった坂の先で道が二つに分かれ、社長が下る側ではなくもう一度上る側を選ぶ
分かれ道は、いちばん高いところではなく、下り始めた場所にありました

俺と同じ道を通った会社が、統計に出ている

ここで一つ、調べていて背筋が寒くなった数字があります。

ネット通販や無店舗小売の倒産その年に何があったか
2021年68件(いちばん少ない)巣ごもり需要のピーク
2024年169件(過去最多・2.5倍)特需の反動

いちばん売れていた年が、いちばん倒産が少ない年でした。そしてその3年後に2.5倍になっています。

コロナのときの無利子無担保の融資を使った会社の倒産も、累計で2,311件にのぼります。しかもその返済は、2026年の4月から9月にかけて最後のピークを迎えます。

つまり今この瞬間も、同じ坂を下っている社長がいます。

分岐点は、売上が落ちた日にあった

時系列の6番目、太字にしたところです。あそこが全部でした。

売上が落ちたとき、社長が選べる道は2つしかありません。

縮める固定費を下げる。人を減らす。事務所を小さくする。頭を下げて相談する痛いし、格好が悪い
もう一回賭ける新しい事業で、落ちた分を取り返す前を向いているように見える

俺は右を選びました。

そして自分では、これを前向きな判断だと思っていました。攻めの経営だと。

ところがこれ、心理学に名前がついています。エスカレーション・オブ・コミットメントといって、つぎ込んだ分だけ引き返せなくなる現象です。ここでやめたら今までが全部無駄になる、と感じるから、人はもう一枚張ってしまう。

前を向いていたんじゃなくて、後ろを見たくなかっただけでした

なぜ、よりによって法人向けだったのか

ここが自分でも一番きつい部分です。

それまでうちの物販は、個人のお客さん相手でした。新しく始めたのは法人向けです。客も商品も、同時に変えました。

経営の教科書に、アンゾフの成長マトリクスというものがあります。事業の広げ方を4つに分ける古典的な整理で、中小企業庁のサイトにも載っています。

今の商品新しい商品
今の客いちばん堅いやや重い
新しい客やや重い4つの中でいちばんリスクが高い

俺が選んだのは、右下でした。

右下は、市場にも商品にも取っかかりが無い場所です。4つのうち最もコストがかかり、最もリスクが高いと明記されています。

しかも厄介なことに、この右下は今の市場が飽和したときに選ばれやすいとも書いてあります。売上が落ちた社長が引き寄せられる場所だ、ということです。まさに俺でした。

じゃあなぜ選べたのか。営業を27年やってきたので、法人向けなら自分が売れると思ったからです。

ここは今でも、間違っていなかったと思っています。売る力はありました。ただ売る力があることと、現金が持つことは別の話でした。法人向けは商談から契約まで時間がかかります。物販なら売れた瞬間に現金が入りますが、法人向けはそうはいきません。

現金が減っている時に、いちばん回収の遅い事業を始めていました。

調子に乗るとは、何のことだったのか

ここを言葉にするのが、ずっと難しかったです。

貧乏人が夢を見て起業して、ちょっとだけうまくいって、小銭が入ってきた。周りから良い社長だと言われて、完全に有頂天になった。当時の自分はそんな感じでした。

でも、有頂天になったこと自体が会社を潰したわけじゃないです。潰したのは、そのあとに起きたこれです。

起業する前の俺小銭が入った後の俺
1円でも安いほうを探した探さなくなった
買う前に必ず比べた相見積もりを取らなくなった
出ていく金には理由が要った社員が言ってきたものをそのまま通した
飲食に金を使う発想がなかった使うようになった

金の使い方が変わったんじゃないです。金を使うかどうかを決める基準が、消えたんですよ。

なぜ消えたのか。調べていたら、これにも名前がありました。自己帰属バイアスといいます。

  • うまくいったことは、自分の能力のおかげだと考える
  • うまくいかなかったことは、運や環境のせいだと考える
  • しかも脳は、良い結果のほうを強く学習する

この3つ目が怖いところで、計算モデルを使った研究でも確認されています。成功のほうが、失敗より記憶に残りやすい。だから同じ経験をしても、自信だけが積み上がっていきます。

俺の場合、こうです。

売上が上がったのはコロナのおかげなのに、自分の実力だと思っていた。

一行でいうと、こういうことだと思っています。

調子に乗るとは、外から来た追い風を、自分の脚力だと思うこと

追い風を実力だと思ったから、固定費を上げる判断が自分の中で正しいことになりました。周りのチヤホヤは、その勘違いを裏書きしてくれる材料でしかなかったです。

固定費は、毎月かわりに賭け続ける装置

もう一つ、あとから気づいたことがあります。

飲食に使った金は、使ったら終わりです。1回きり。痛いけど、そこで止まります。

固定費は違います。

  • 一度上げると、下げるのに人の生活が絡む
  • だから簡単には下げられない
  • 翌月も、その翌月も、自動的に出ていく

つまり固定費を上げる決裁は、その場の出費ではなく、毎月かわりに賭け続ける装置を置く行為でした。

そして俺は撤退ラインを決めていなかった(4番)ので、その装置を止める仕組みもありませんでした。

14個の項目は、バラバラの欠点じゃなかったです。1本の線でつながっていました。

当時の俺は、この記事を絶対に読まなかった

ここまで書いておいて、いちばん言いたいことがこれです。

調子に乗っていた時期の自分が、会社を潰す社長の特徴なんて検索する場面が、1ミリも想像できないです。

そんなものを見ようという発想自体がなかった。ただただ、うまくいくと思っていました。

だからこの手の記事は、届いてほしい人には届きません。読むのはもう危ないと気づいている社長だけで、いちばん危ない有頂天の社長は絶対に検索しないからです。

それを分かったうえで書いています。戻ってやり直したいと本気で思っているので、せめて記録として置いておきたいんですよ。

今、1つだけ変えていること

今また、俺は法人向けの事業をやっています。同じことをまた繰り返しているように見えるかもしれません。

変えたのは1つだけです。

全部、数える。

何件送ったか。何件届いたか。何件返ってきたか。何件送れば母数として足りるのか。うまくいくかどうかを気分で判断しないために、先に数字を置くようにしました。

あと固定費を上げていません。一人でやっています。看板が無くなった状態からもう一度やり直すなら、装置を置く前に数えるほうが先だと思っているからです。

20項目のうち14個は、たぶん今も俺の中にあります。性格は変わらないので。

変えられるのは、気づけるようにしておくことだけです。

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