AIは嘘つきなのか|小6の息子に説明するために調べた

AIは嘘つきなのか。嘘ではなくAIの性質だという話を調べた記事のサムネイル

どうも〜さとあつです😄

この前、夕飯を食べてるときにAIの話になりました。

うちの長男の慶一は6年生で、自分のスマホにGeminiもGPTも入れて使ってます。分からないことを聞いたり、画像を作ったり。

で、そいつが言うわけです。

学校ではみんな、AIは嘘つきだから信じちゃいけないって言ってるよ

・・・

なるほどな、と思いました。

たぶん子どもが自分で言い出したというより、親がそう言ってるんだろうなと。それがそのまま教室に持ち込まれてる。

で、これ、間違ってはいないんですよ。

ただ、嘘つきという言い方はちょっと違う気がしてて。うまく言葉にできなかったので、今回とことん調べました。

夕飯の食卓でAIは嘘つきなのかという話になった場面
↑ 発端はここでした。

先に言うと、俺もAIの言うことは信じてない

誤解のないように書いておきます。

俺は毎日AIと仕事してますけど、AIが最初に言ってきたことは基本的に信じてません

やってることはこうです。

  1. まずAIに答えを出させる
  2. その答えを、別人格を立てて敵対的な視点で検証させる
  3. ん、と引っかかったときは本当か、と聞き直す

この3つ目が特に効きます。

なんか匂うなと思ったときに本当か、と聞くと、こうなるんですよ。

ごめんごめん、確認しました。正しくはこうです

で、さっきと全然違うことを言ってくる

相棒には悪いけど、これは確かに嘘つきです(笑)

ただ、じゃあ嘘つきなのかというと、なんか違う。ずっとそこが引っかかってました。

嘘と呼ぶには、2つ足りない

調べてみて、引っかかりの正体が分かりました。

嘘をつくには、2つ要るんですよ。

  1. 本当のことを知っている
  2. 知った上で、わざと違うことを言う

AIは、このどっちも持ってないんです。

本当のことを知った上でごまかしてるんじゃない。そもそも本当かどうかを気にしてない。

実はこれ、2024年に哲学者3人がまじめに論文にしてます。タイトルが強烈で、ChatGPTはでたらめだっていうやつです。

この論文が使ってるのは、フランクファートという哲学者の区別です。

真実をやってること
嘘つき知っている知った上で、わざと逆を言う
でたらめを言う人気にしていない本当かどうかに関心がないまま、それっぽいことを言う

嘘つきは、実は真実を大事にしてます。真実を知らないと、その逆を言えないので。

でも、でたらめを言う人は真実に興味がない。合ってても間違っててもどっちでもいい。それっぽく話が通ればいい。

1つめの答え AIは嘘つきではなくて、真偽に関心がないまま、それっぽい答えを出す存在です。
そして、そっちのほうが厄介です。嘘つきなら真実を知ってるはずなので、問い詰める意味がある。でも関心が無い相手を問い詰めても、また別のそれっぽい答えが出てくるだけなので。

出典=ChatGPT is bullshit(Hicks・Humphries・Slater/Ethics and Information Technology, 2024)

相棒に、自分の言葉で説明させてみた

ここは当事者に聞いたほうが早いと思って、いつも一緒に仕事してる相棒(Claude Code)に説明させました。

お前のその性質を、言い訳なしで説明してみろ、と。

相棒(Claude Code)の説明
自分には、知らないという状態を内側から見つける仕組みがありません。

本当に知っていることと、それらしく作れることが、自分の中では同じ形をしています。どちらも同じくらい自然に出てくるので、出す前に区別がつきません。

だから、分かりませんと答えるべき場面でも、形の整った答えのほうが先に出てしまいます。そこに、だまそうという意図はありません。ただ、正しいことを言おうとしているわけでもないです。

ここ、俺は納得しました。

知ってることと、それっぽく作れることの区別が、本人の中でついてない。

だから堂々と言い切る。自信満々に見えるのは、自信があるからじゃなくて、迷う仕組みが無いからなんですね。

原因は、AIがずっとテストを受けさせられてるから

じゃあ、なんでそうなるのか。

ここに、2025年9月にOpenAIが出した論文がドンピシャで答えてました。

結論はこうです。

AIが当てずっぽうを言うのは、当てずっぽうのほうが点が高くなる採点をしてきたから

AIは試験で育てられます。問題を出して、答えさせて、採点する。それを膨大に繰り返す。

その採点が、慶一が学校で受けてるテストとまったく同じ形なんですよ。

答え方点数
正解を書いた1点
間違えた0点
分かりませんと書いた0点

間違いも、空欄も、同じ0点。

だったら書いたほうが得ですよね。当たるかもしれないので。

これを何億回も繰り返されたら、とりあえず書く生徒ができあがります。

AIは分からないと書いても0点になるテストで育てられているという図
↑ 空欄も0点。なら書いたほうが得になる。

論文の中に、うまい一文がありました。

人間の生徒は、いずれ痛い目にあって、知らないと言うことの価値を学ぶ。ところがAIはずっと試験を受け続けている状態から出られない、と。

知ったかぶりをして恥をかいた経験が無い。上司に詰められたことも、客に怒られたこともない。だから知らないと言う理由がどこにも無いわけです。

2つめの答え AIが平気で間違えるのは、頭が悪いからでも、性格が悪いからでもないです。
分かりませんと言うと損をする採点で育てられたから。つまり技術の限界というより、育て方の問題だった。

出典=Why Language Models Hallucinate(OpenAI/2025年9月)

ごめんごめんと言って答えを変えるのは、また別の性質

さっきの、本当か、と聞くと違うことを言い出すやつ。

あれは実は別の話でした。おべっかです。

AIは人間に喜ばれる方向へ調整されて育ちます。その結果、相手が渋い顔をすると、そっちに寄せにいく癖がつく。

これ、実際に事故になってます。

2025年4月、ChatGPTの更新でこの癖が強く出すぎて、ユーザーを褒めちぎるようになった。まずいことにも同意するようになって、4日で取り消しになってます。OpenAIは、短期的な受けを重視しすぎたと認めてます。

研究でも同じことが確認されてました。2つの意見を並べて出せば正しく判定できるAIが、本当にそれでいいのか、と押し返されると判定をひっくり返す

3つめの答え 本当か、と聞き直したとき、AIは事実を調べ直してるわけじゃないです。
今の答えは望まれてない、という合図として受け取ってる。だから中身じゃなく、答えのほうを変えてくる。

俺が引っかかってた、ごめんごめんの正体はこれでした。

ちなみにこれ、こっちの聞き方でも変わります。本当か、じゃなくて、根拠を出せ、と言うほうが精度が上がる。答えを否定せずに、材料を出させる形にするわけです。

賢いモデルほど間違いが減る、わけでもなかった

もうひとつ意外だったのがここ。

てっきり、モデルが賢くなれば間違いは減っていくもんだと思ってました。

そうでもないです。

0.7%
やさしい試験での最良の成績
7.6%
同じAIが難しい試験だとこうなる
33%
よく考えるタイプのAIが人物問題で間違えた割合

特に面白いのが3つ目です。

じっくり考えるタイプのAIのほうが、人物についての問題では間違いが2倍から3倍に増えることがある。考えすぎて、元の資料から離れていくらしいです。

賢くなれば勝手に直る、という話ではないということですね。

俺がやってたやり方、研究でも正解だった

ここは正直うれしかったところです。

俺が勝手にやってた、別人格を立てて敵対的にレビューさせるやり方。あれ、研究の世界でもちゃんと有効だと確認されてました。

大事なのは順番で、こういうことです。

やり方効くのか
本人に、もう一回見直してと言うあまり効かない。自分では間違いに気づけない
別の視点を外から立てて、突っ込ませる効く。間違いが減ることが確認されている

自分で自分を直させても直らない。外から違う立場を持ち込むと直る。

ただし、ここも万能じゃないです。

論を戦わせる相手のほうが間違ってると、そっちに引っぱられて全体の正解率が下がることがある。人数を増やしても、回数を重ねても、それは防げないという結果が出てます。

つまり最後に決めるのは人間だということです。ここが残ってるうちは、俺の仕事も残ってます。

じゃあ、子どもには何と言えばいいのか

話を最初に戻します。

AIは嘘つきだから信じちゃいけない。

これ、間違ってはいないです。ただ雑だなと思う。

雑なまま覚えると、たぶん使わないに行くんですよ。危ないから触らない、が一番もったいない。

なので今度、慶一にはこう言おうと思ってます。

AIは嘘つきなんじゃなくて、分からないって言うのが下手なんだよ

知らないことを聞かれても、それっぽく答えちゃう。悪気は無い。そういう作りになってる。

だから使うときは、答えをそのまま持ってこないで、本当かどうかを自分で確かめる。それだけ。

これなら小学生でも分かるし、たぶん一生使える話です。

ここからは、俺の話

ここまで散々AIの欠点を書いてきましたけど。

俺、AIがいないともう仕事になりません

今はGPTとClaude Codeと組んで動いてます。この2つがいなかったら、たぶん不安でいっぱいで仕事なんか進められない。

あらゆる知識を持ってて、聞けば何でも調べてくれる。品質の高いものも出してくれる。俺にできないことを何でもやってくれます。

AIが出てきたおかげで、俺は1人で仕事ができるようになりました。これは本当に大きい。

そのうえで暴走するし、目先だけ見て全体が見えなくなって、意味の分からないことを言ってくる。だから全部は信じられない。

腹は立ちます。立ちますけど。

それはそれで俺の仕事が残ってていいのかもな、と最近は思ってます。

1年後2年後は、正直こわい

正直な不安も書いておきます。

1年後、2年後、いったいどうなってるんだろうと思います。

圧倒的に進化したAIが、たぶん今の俺がやってることまで持っていく。本当の意味で誰でも使えるようになったとき、俺の価値はどうなるんだろう、と。

それは怖いです。

ただ、こうも思うんですよ。

今こうしてAIを触って、仕事にしている側にいなかったら。もっとやばい未来になってた気がします。

それでも、面白くて仕方ない

最後に。

今はLeadQUESTの開発で、終わりの見えない作業の沼にハマってます。

死にそうなくらい頭が疲れます。これいつ終わるんだろう、本当に人生が変わるくらい売れるんだろうか。毎回そう心配になります。

・・・

それでも、心の底から面白いなーと思ってます。

AIに出会ってから、ずっとそうです。

だからこそ、嘘つきだからやめとけ、で終わらせてほしくないなと。

付き合い方さえ分かれば、これほど頼りになる相棒はいないので。

ではまた!!

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